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頭に来たから嫌がらせしてやった

闇金の店長から足を洗った今では、あの行為はやり過ぎだったなと反省しているんですけど、当時はヤミ金の店長となって2年目だったので、とにかく売り上げを上げたいと必死になっていました。

ネットの掲示板に「返済に無理のない小口融資。ブラツクでもOK!金利も応相談」と掲げたところ、携帯電話が鳴りっぱなしになったんです。

そのうちの一人である岡村さんに3万円を融資。あらかじめ30%の利息と事務手数料の10%を引き、合計で18,000円を振り込んでやりました。

一週間後が返済日で、その一日前には確認するために電話するんですが、ここできちんと出る人は、ほぼまちがいなく完済するか最低でも利息を振り込んでくれるわけです。

2回目、3回目と元金返済はできなかったものの、利息だけは振り込んでくれた岡村さんでしたが、4回目の返済日の前日に、いくら電話を鳴らしても、「ただ今、電話に出ることができません。おかけ直しください」というコメントが流れるばかりで、留守番に入れることさえできなくなりました。

こうなると、お金を返す気がないのは明白です。
無視された私は完全に頭にきてしまい、彼の母親や奥さん、彼の勤務先、さらには奥さんの勤務先など少しでも関係のありそうな人や場所にかたっぱしから電話を入れてやりました。

彼の職場に電話をすると「◎◎は先日より体調不良でお休みをいただいています」と女性が答えるばかり。
これでは埒が明かないと思い、「◎◎にお金を貸しているんだけど、返してくれないばかりか、まったく無視されているんですよ。御社では、こんな不誠実な人を雇うんですか?」と言ってやりました。

また、彼の奥さんは「もう、岡村とは別れますんで、あの男を好きにしてもいいですよ」と言っていましたが、どうやらあちこちに岡村さんは借金をしていたみたいです。

しかし、ここであきらめては闇金の名がすたります。
岡村さんの自宅に宅配ピザ10人前を送りつけたのは序の口で、葬儀屋へ岡村さんの葬儀を出すように電話したり、119番で救急車を呼んだり、さまざまな嫌がらせをしました。

そんな嫌がらせを続けていたある日、司法書士を名乗る男から電話が入りました。

「こちらは◎◎法務事務所の司法書士▲▲ですが、岡村さんの代理人に就任しました。ついては、今後いっさい返済しないので通知します。不服であれば、訴訟を起こしてください」という内容でした。

そう、岡村さんは司法書士へ駆け込んだわけです。こうなると、ちょっとやっかいなんです。このまま嫌がらせや恫喝的な電話を続けると、司法書士さんを通して警察に被害届けが提出されます。

警察は民事不介入が原則ですから、岡村さんが単独で警察に相談しても「借金は民事案件だからね」と言われて相手にされない方が多いんですが、弁護士や司法書士の法律の専門家が絡むと警察もきちんとした対応をしなくてはならなくなり、被害届けを受理するケースが目立ちます。
こうなれば、刑事事件として追及されることになってしまうわけです。

これ以上、岡村さんに関わっていても何のメリットもないし、関わるほどに摘発されるリスクも高くなってしまいます。また、岡村さんからは、既に元金はもちろん少ないながらも利息を回収できていました。そこで、手を引きました。

正直、ヤミ金被害問題に強く、お金を借りた当事者の代理人として司法書士や弁護士が出てくると、ほとんどの闇金業者は以降の恫喝的な取り立てや嫌がらせをストップさせます。

いつまでも既存の客に関わって捕まるリスクを高めるよりも、新しい顧客の開拓をする方が楽だし稼げます。それに、司法書士や弁護士と争っても勝てる見込みはありません。

言わば、闇金の天敵。それが、ヤミ金対応専門の知識と経験を備えた法務事務所です。

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